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鯖江不時着場跡地 [├場所]

   2011年10月、2018年5月訪問 2022/1更新  


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1934年(昭和9年)5月調査資料添付地図
Translation No. 29, 20 February 1945, Airways data: Chubu Chiho. Report No. 3-d(27), USSBS Index Section 6 (国立国会図書館ウェブサイトから転載)

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撮影年月日 1948/10/13(昭23)(USA M1184-A 116)  
出典:国土地理院ウェブサイト(地理院データを加工して作成)

福井県‎鯖江市にある‎丸山公園。

かつてこの周辺は旧陸軍歩兵第36連隊の鯖江練兵場でした。

そしてちょうど丸山公園の付近に「鯖江不時着場」がありました。

■「航空路資料 第4 昭10-1 中部地方不時著陸場」(1934年5月調)に図があり(下記リンク参照)、

先頭のグーグルマップは、この図から作図しました。

とっかかりが無くて精度に自信ないんですが、大体こんな感じと思います。

2本の滑走路がX字に交差する形状となっていて、

資料には、北西~南東方向の滑走路が(1)、 北東~南西方向の方が(2)と番号が付いています。

■防衛研究所収蔵資料:「航空路資料第4 中部地方飛行場及不時着陸場 昭和19.6 水路部」

の中にも当不時着陸場の付図があるのですが、そこには(2)北東~南西方向の1本の滑走路しか描かれていません。

1934年には2本だったものが、1944年には1本に減っている訳です。

付図を見ると、元滑走路があった部分には、特に何かか建設されたという形跡はなく、

単に滑走路としての設定が外されたようです。

こういうパターンもあるんですね。

まあ元々飛行場ではなく演習場ですからね。

同資料に当着陸場に関する情報がありました。

以下引用させて頂きます。

第7 鯖江陸軍練兵場(昭和17年11月調)
管理者 中部第64部隊。
位置 福井県今立郡神明村
   (鯖江町の北方約4.2粁、35°58′8N、136°11′0E)。
種別 不時着陸場。

着陸場の状況
高さ
 平均水面上約15米。
広さ及形状
 着陸地域は本練兵場の北西部に於て長さ北東-南西450米、幅100米の長
方形地域なり(付図参照)。
地表の土質
 粘土混りの尋常土。
地面の状況
 着陸地域及周囲一帯は陸軍大演習の際基地トシテ使用する目的にて整地工
 事を施せるものなり・地表は概して平坦なるも北方に向け緩除なる下り傾
 斜を成す・地盤は概ね堅硬にして殆ど一面に芝密生す・降雨後の排水良好
 なるも冬季積雪1.5-2.0米に達するを以て融雪期には諸処泥濘となる。
場内の障碍物
 着陸地域の北西端付近に長さ8米、幅5米、深さ2米の穿孔、其の南側に
 高さ4米の独立樹あり。
適当なる着陸方向
 北東及南西の2方向に限る、北東より着陸する場合は北東方約650米に在
 る射撃場の中央部より直進降下し高さ20米の煙突を右に見、前方丸山の
 右外側に向け着陸するを適当とす。
離着陸上注意すべき点
 北東方約500米に高さ20米の煙突、北及北東方270米の練兵場境界付近に
 高さ各17米の煙突、南西方約150米に高さ6米の普通電線1條あり、何れ
 も離着陸方向の見通線上に在るを以て警戒を要す。
施設
 なし。

周囲の状況
山岳及丘陵
 南端付近に場面よりの高さ10米の丸山、其れより南東方約350米に琵琶山
 と称する丘陵連互する高さ30米の高地あり、又北方約1.2粁に高さ182米
 の經ヶ岳の山脈あり北方に向け連互す・其の他の周囲は水田又は畠地にし
 て地貌平坦なり。
樹林
 南方丘陵性高地上に高さ8米内外の松樹林あり、東方200米付近に高さ10
 米内外の雑木林あり、又西方約350米、北方約250米付近に8-10米の松
 樹林あるも離着陸方向には障碍となる樹林なし。
堤防
 場の北端より北方約80米に在る浅水川の両岸に堤防あり、離着陸の際目障
 りとなる。
河川及湖沼
 北方約80米に北西流する浅水川あり、本場付近に於ける河端約40米なり、
 又西方約2粁の平野の中央を北流する吉野瀬川あり・南方約370米に長さ
 90米、幅40米の溜池あり。
煙突
 着陸地域の北東端より東方約80米及北方約160米に高さ各17米、又北東
 方約270米に高さ20米の煙突各1基あり。
建築物
 着陸地域の南西端付近に厠1棟及北方浅水川の南側に建物2あるも何れも
 障碍とならず。
電線
 南西方約150米に略南北方向に架設せる普通電線1條あり。
着目標
 鯖江町、北陸道、中部第64部隊兵営、浅水川。

地方の状況
市街
 南方約4.5粁に鯖江町、其れより更に南方5粁に武生町あり、鯖江町は人
 口約5,000にして鯖江憲兵分隊、警察署及郵便局等の諸官衙及学校の所在
 地なり。
軍隊
 中部第64部隊(丹生郡立待村)南方約1粁・鯖江憲兵分隊(今立郡鯖江町)
 南方約4粁。
警察署及役場
 鯖江警察署(今立郡鯖江町)南方約4粁、神明駐在所(同郡神明村字岡野)
 南東方約1粁・神明村役場(同上)。
医療
 神明村字水落(南方約2粁)に鯖江陸軍病院あり・神明村内に地方医3あ
 り。
宿泊
 神明村内に旅館1、鯖江町に旅館11(収容員数計150)あり。
清水
 付近の民家に水質良好なる井戸あり。
応急修理
 神明村に鉄工場2、中部第64部隊内に鍛冶工場あるも何れも期待し得ず。
航空需品
 航空用燃料は付近より需むるを得ず。

交通、運輸及通信
鐡道及電車
 鯖江駅(北陸本線)南方約4粁・南方約10粁の武生町より北方福井市間に
 福武電気鉄道線あり、最寄停留所は鳥羽中(東方約700)なり。
道路
 場の東方約800米に北は福井市、南は鯖江及武生町を経て米原方面に通ず
 る国道(北陸道)あり、着陸場より村道に依り之に連絡す。
車馬及運送店
 神明村に合同運送会社1、貨物自動車3及荷馬車10あり。
電信及電話
 神明郵便局(電信及電話取扱)南方約1粁の中部第64部隊の南隣に在り。

気象
測候所
福井測候所(福井市日の出下町)北北東方約10粁、航空気象観測せず・今
 立農学校気象観測所(今立郡舟津村上鯖江)南方約4.5粁。
地方風
 福井測候所に於ける2557年至2600年44箇年間の月別統計を参考に記載
 す(以下月ごとのデータ省略)
天候
 今立農学校気象観測所に於ける昭和2年至同13年(11年缺)11箇年間の
 月別雨雪日数次の如し(以下月ごとのデータ省略)
 尚参考に福井測候所に於ける2557年至2600年44箇年間の月別統計次の
 如し(以下月ごとのデータ省略)
地方特殊の気象
 夏季雷雨の襲来すること多し・濃霧の発生は1月及2月に多く、7月之に
 次ぐ・冬季(12月-翌年3月)は降雪多く積雪量は1月最も多く昭和3年
 至同13年11箇年の統計に拠れば同月に於ける1日の最大積雪量1.3米に
 して平均0.7米なり。

DSC_0120.jpg

青マーカー地点。

(1)北西~南東方向の滑走路は、画面右側から奥に向かって伸びていたはずです。

DSC_0119.jpg (2)

赤マーカー地点。

北東~南西方向の滑走路は、ここから奥に向かって伸びていたはず。


      福井県・鯖江不時着場跡地      

鯖江不時着場 データ(主に水路部資料昭和17年11月調から)

管理者:中部第64部隊
種 別:不時着陸場
所在地:福井県今立郡神明村(現・鯖江市‎丸山町‎4丁目‎)
座 標:N35°58′8″E136°11′0″
標 高:15m
滑走路:
(1)550mx100m(13/31)
(2)450mx100m(04/22)
(方位はグーグルアースから、標高、滑走路長さは「航空路資料 第4 昭10-1 中部地方不時著陸場」から)

沿革
1896年 連隊本部設置
1933年 陸軍演習の際、参加した陸軍機、新聞各社の機体の離着陸に使用される
1934年 5月頃は滑走路2本
1944年 6月頃は滑走路1本

関連サイト: 
「航空路資料 第4 昭10-1 中部地方不時著陸場」  
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この記事の資料:
防衛研究所収蔵資料:「航空路資料第4 中部地方飛行場及不時着陸場 昭和19.6 水路部」


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