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古河航空機乗員養成所飛行場(岡郷/小堤/関戸の飛行場)跡地 [├空港]

   2011年10月訪問 2020/12更新  


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上:撮影年月日1946/03/24(USA M83-A-6 24) 
下:撮影年月日1946/03/24(USA M83-A-6 13) 
出典:国土地理院ウェブサイト(地理院データを加工して作成)

茨城県‎古河市‎にあった「古河航空機乗員養成所飛行場」。

東北本線古河駅の西北西約4kmにありました。

現在も跡地南側に地名が残っていますが、旧岡郷村小堤地区、関戸地区にあったため、

「岡郷の飛行場」、「小堤の飛行場」、「関戸飛行場」とも呼ばれていたそうです。

■防衛研究所収蔵資料「関東地方飛行場及不時着陸場 昭和18年8月刊行 水路部」の中に、

当飛行場の付図があり、先頭のグーグルマップはそこから作図しました。

同資料に記載の情報を下引用させて頂きます。

第4 古河航空機乗員養成所飛行場(昭和18年1月調)

管理者 航空局。
位置 茨城県猿島郡岡郷村大字小堤。
   (古河町の東方約4.5粁、北緯36°12′0、東経139°46′0)。
種別 非公共用陸上飛行場。

着陸場の状況
高さ
 平均水面上約23米。
広さ及形状
 本場は長さ東西1,000米及南北1,000米の正方形地域なり・着陸地域は各
 周辺より内方約100米の地域を除く東西800米、南北800米の地区を最適
とす(付図参照)。
地表の土質
 粘土混りの砂地。
地面の状況
 地表は凸凹起伏なき平坦地なるも中央稍高く北東より南西端を結ぶ線を境
 とし南方へ1/500、西方へ1/500の下り勾配を為す・一面に良好なる張芝密生
するも地盤稍軟弱なり・降雨後は排水概して不良にして時により2-3日
 間使用し得ざることあり・冬季西風強吹する際砂塵激しきも飛行に障碍と
 なる程度ならずと言う。
場内の障碍物
 なし。
適当なる離着陸方向
 何れの方向よりするも可能なり。
離着陸上注意すべき点
 なし。
施設
 格納庫(間口80米、奥行50米、高さ6.3米、収容機数小型機50)1・修
 理工場1・庁舎・校舎・油庫・食堂・宿舎・医務室等あり。
 昼間標識 吹流1あり。
 夜間標識 なし。

周囲の状況
樹林
 周囲は広濶なる平原地にして至近に山岳、丘陵等の障碍物なきも処々に樹
 林点在し特に南西及北東方付近のものは高樹林にして高さ約30米の杉林
 存在す。
建築物
 北東側に格納庫及修理工場等其の他の付属建物あり又周囲に民家点在す。
電線
 東方約2粁及西方約2.5粁に略南北方向に架設せる高さ約25米の高圧送
 電線各1條あり。
着目標
 古河町、道路(古河-下妻間)、格納庫、吹流。

地方の状況
警察署及役場
古河警察署(古河町)西方約6粁、岡郷村駐在所(岡郷村大字大野)東方約
 2粁・岡郷村役場(岡郷村大字小堤)東方約1粁。
医療
 場内に医務室あるも医員は定置しあらず・古河町に完備せる病院1あり。
宿泊
 古河町に旅館10(収容員数計100)あり。
清水
 場内に水質良好なる井水あり。
応急修理
 場内の修理工場にて一時的応急修理程度ならば可能なり。
航空需品
 不時着機の最寄り基地への帰還飛行に要する程度の航空用燃料及潤滑油あり。

交通、運輸及通信
鐡道
 古河駅(東北本線)西方約5粁。
乗合自動車
 本場の北側県道(下妻-古河間)を乗合自動車運行す。
道路
 場の北側に沿い西は古河町、東は下妻方面に至る県道あり。
電信及電話
 小堤郵便局(電信及電話取扱)東方約600米・場内事務所に電話(467番)
 あり。

気象
測候所
 筑波測候所(筑波山頂)東方約40粁。
地方風
 冬季は北西風強く、夏季は弱き南風吹くを常とす・11月-翌年3月上旬
 間は北西の季節風強きも10米/秒前後にして15米/秒以上の暴風は稀なり。
天候
 古河地方に於ける各年に於ける天気日数次の如し。
 快晴日数70・曇天日数147・降水日数128・雪日数10なり。
 雨期は6月中旬より7月中旬間にして該期間中屡豪雨あり。
地方特殊の気象
 冬季は概ね快晴多く晩冬より春季間は飛行場内の風塵甚し・冬季低気圧の
 本邦南方海上通過の際降雪を見るも継続時間は概ね10数時間にして天候
 恢復するを常とす従って降雪量も少く積雪30糎を超ゆること極めて稀な
 り。霧の発生は年平均約30-40回にして5月下旬より9月上旬に亙り特
 に頻発す、之等は殆ど輻射霧にして午前9時乃至10時頃迄に消散す。
 電雷の発生回数は専ら夏季に限られ梅雨期(6月中旬-7月中旬間)には
 殆ど発生を見ざるも梅雨期前に数回、梅雨後は9月中旬頃迄2-3日に約1
 回の割合にて発生又は来襲するを常とす。

其の他
本場は昭和17年4月航空局の設置せる民間航空機乗員養成所(陸軍関係)にし
て目下練習機を常備し飛行訓練実地中なり。

 

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赤マーカー地点。

現在跡地は方形の工業団地になっており、真ん中に「丘里公園」があります。


      茨城県・古河航空機乗員養成所飛行場(岡郷/小堤/関戸の飛行場)跡地      

古河航空機乗員養成所飛行場 データ

管理者:航空局
種 別:非公共用陸上飛行場
所在地:茨城県猿島郡岡郷村大字小堤(現・古河市‎丘里‎)
座 標:N36°12′0″E139°46′0″
標 高:23m
飛行場:1,000mx1,000m
着陸帯:800m×800m

沿革
1942年04月 設置
1944年04月 宇都宮陸軍飛行学校古河分校併設
1945年08月 終戦により閉校

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この記事の資料
防衛研究所収蔵資料「関東地方飛行場及不時着陸場 昭和18年8月刊行 水路部」


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コメント 2

おにぎり

興味深く拝見しました。この飛行場跡地のすぐ近所に住んでいました。30年くらい前までは、小堤小学校のすぐ西側はまだ空き地で、一面が当時のままと思われる砂利混じりのコンクリートでした。また飛行場北側(関東合成という会社の敷地になっていました)にも、当時からの木造の建物がいくつかありました。当時小学生だった叔父は飛行場に来襲した米軍機の中にコルセア(羽の曲がった戦闘機)がいたことを覚えており、また、終戦直後に駐機されていた零戦の風防を壊しプレキシガラスの破片を燃やして遊んだり、消しゴム代わり使うため零戦の尾輪のタイヤを外して持ち帰ったりしていたそうです(タイヤは今もあります)。
by おにぎり (2018-12-15 09:43) 

とり

■おにぎりさん
>30年くらい前までは
少し前まで残っていたんですね~
それにしてもなんてやんちゃな叔父様^^
きっと当時は皆さんそんな感じだったんでしょうね。
貴重なお話をありがとうございました。
by とり (2018-12-16 04:19) 

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