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芦屋基地(旧芦屋陸軍飛行場) [├空港]

   2011年5月訪問 2020/11更新  


無題8.png
撮影年月日1947/03/11(USA M122 86) 

出典:国土地理院ウェブサイト(地理院データを加工して作成) 

無題1.png
SkyVector.com

福岡県遠賀郡、響灘に面する「航空自衛隊芦屋基地」。

毎年航空祭があり、ブルーインパルスの展示飛行もあって、そのスジでは超有名な基地です。

戦時中は陸軍の「芦屋飛行場」でした。

上のグーグルマップは、

■防衛研究所収蔵資料:「飛行場記録 第12飛行師団司令部」(陸空-本土周辺-120)昭和二十年九月十七日
■防衛研究所収蔵資料:「陸軍航空基地資料 第1 本州、九州 昭19.10 水路部」

それぞれの資料の「要図」、「地図」から作図しました。

オイラは作図の際、地図よりも「航空写真最優先」が基本なんですが、

ここは終戦と共に接収を受けており、終戦から僅か2年足らずで随分造成が進んでいます。

オイラとしては、できるだけ日本軍当時を復元したいと考えているため、

航空写真より資料の「要図」、「地図」の方を優先しています。

多少の相違はあるものの、滑走路、誘導路共にほぼ当時の地割がそのまま現在まで残っています。

 

■「飛行場記録 第12飛行師団司令部」(陸空-本土周辺-120)昭和二十年九月十七日  から以下引用させて頂きます。

判決
若干補修を実施すれば小型機の使用には概ね支障なし

飛行地区
滑走地区 一五〇〇x一〇〇 但し舗装路以外は離着陸に支障あり
舗装路 一五〇〇x六〇 コンクリート舗装
土質 砂壊土
地表面の状況 表面張芝しあるも芝の育成良好ならず 
          且舗装路及誘導路以外は降雨のため所々に凸凹を生じありて離着陸注意を要す
周辺障碍物の有無 なし
誘導路 一三〇〇x三〇

付属地区
宿営 兵舎四棟 約五〇〇名
夜間着陸設備 破損しありて使用に堪えず
動力線 設備あり
電灯線 配線しあり
給水 水道設備あり 水質良好ならず

気象
風向 午前中南 午後北を恒風とす 南風の場合煙霧発生すること多し

実は同資料では、終盤の頁で当飛行場の「要図」と「飛行場記録」がコンパクトにまとめられて再登場しているのですが、

コンパクト版には細かな追加情報があります。

「判決」の項目、 若干補修を実施すれば小型機の使用には概ね支障なし

までは一緒なんですが、コンパクト版には続けて、「舗装路へ10頓以下可能」と記されていました。

また同資料内の後ろのページには、結構大き目の「芦屋飛行場平面図」が添付されています。

ここに注釈がありました。


一、舗装滑走路以外使用不能
一、舗装路面補修の要あり

「芦屋飛行場平面図」に続けて「芦屋飛行場建築施設配置図」のページがあり、

諸施設の配置図が描かれたページがあり、注釈がありました。

施設概要
破損個所 各建物窓、出入口硝子 格納庫屋根側壁大破
収容人員 約三〇〇名
浴室 破壊、ボイラー良好
炊事場 使用可能
電気 屋内照明可 動力線破損
水道 堀井戸揚水水量あり
便所 汲取式


■「防衛研究所収蔵資料:陸軍航空基地資料 第1 本州、九州 昭19.10 水路部」から以下引用させて頂きます。

「蘆屋陸軍飛行場 福岡県遠賀郡蘆屋町」

面積 北北西-南南東1,100米 西南西-東北東1,100米 
地面の状況 一面に植芝密生する平坦且堅硬地なり
目標 遠賀川河口、
障碍物 なし
離着陸特殊操縦法 (記載なし)
格納設備 格納庫(間口40米、奥行50米)1棟 (間口25米、奥行40米)5棟
照明設備 (記載なし)
通信設備 場内に陸軍無線通信所あり
観測設備 なし
給油設備 場内にて補給可能
修理設備 応急修理可能
宿泊設備 兵舎あり
地方風 冬季北西信風流行中は曇天多少の雨又は雪を見ることあり、暖季に至れば南至東の風多し
地方特殊の気象 (記載なし)
交通関係 折尾より本場付近迄「バス」の便あり
其の他 本場は飛行第4戦隊飛行場なり、陸軍航空廠蘆屋分廠あり
(昭和18年4月調)
 

■防衛研究所収蔵資料「本土における陸軍飛行場要覧 第一復員局(陸空 本土防空7)」

にも当飛行場の情報がありました。

飛行場名  芦屋
位 置   福岡県遠賀郡芦屋町
規 模   要図(かすれて判別できず)
舗 装   六〇×一五〇〇米
      基礎■石圧入
      表層コンクリート一〇糎
付属施設
 収容施設 一五〇〇名分
 格納施設 掩体 小二〇ヶ所
摘 要   施設軍有

D20_0071.jpg

なんとか滑走路は見えないものかと思ったのですが、官舎は警戒が非常に厳しく、海浜公園も×。

上の写真は一応このあたりに滑走路がある。というものです。

「滑走路が見たければ航空祭に行け」。ということですね。


      福岡県・芦屋基地飛行場跡地      

・陸軍芦屋飛行場 データ
設置管理者:陸軍
種 別:陸上飛行場
所在地:福岡県遠賀郡蘆屋町
面 積:北北西-南南東1,100m 西南西-東北東1,100m 
滑走地区:1,500mx100m
滑走路:1,500mx60mコンクリート舗装
方 位:12/30

・航空自衛隊芦屋基地(現在) データ

設置管理者:防衛省
4レター:RJFA
空港種別:軍用飛行場
所在地:福岡県遠賀郡芦屋町大字芦屋1455-1
座 標:N33°52′59″E130°39′11″
標 高:30m
面 積:440ha
滑走路:1,640m×45m
磁方位:12/30
(座標はグーグルアースから)

沿革
1939年 旧陸軍飛行場として着工  
1942年 完成
1945年 接収。 朝鮮戦争時は航空作戦基地として運用
1960年 駐留米空軍撤退、臨時芦屋基地隊編成
1961年 航空自衛隊芦屋基地開設

関連サイト:
ブログ内関連記事
       

この記事の資料:
「陸軍飛行場便覧」
防衛研究所収蔵資料:「飛行場記録 第12飛行師団司令部」(陸空-本土周辺-120)昭和二十年九月十七日
防衛研究所収蔵資料:陸軍航空基地資料 第1 本州、九州 昭19.10 水路部
防衛研究所収蔵資料「本土における陸軍飛行場要覧 第一復員局(陸空 本土防空7)」


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コメント 14

OLDMAN

芦屋は、正門から入ると
雰囲気的に、小高い丘の上のような所にあります・・
福岡にアプローチする時に見えるぐらいか~な??
今年は、芦屋基地創立50周年の年で、11月23日が予定日です。

by OLDMAN (2011-08-08 07:13) 

いっぷく

道路からはうっそうとした林か森のようで、
事情を知らなければ車で通っても滑走路が向こう側にあるなんて
想像できませんが実際にはどうなんでしょう。
by いっぷく (2011-08-08 08:40) 

tooshiba

兄さんが「あなたなにしてるのちょっとこっちに来なさい」と“捕縛”されなかったので、よしとしましょう。(^o^)

軍事施設ですからね。
バシバシ写真撮ってたら、兄さんを「民間人を装った敵国のスパイ」と勘違いされてしまうかもしれませんからね。(-_-;)
by tooshiba (2011-08-08 18:10) 

guchi

大昔、芦屋基地は神戸(兵庫)のあの高級住宅地帯
にあると大誤解していたお馬鹿な私です。 (^^ゞ
その後、九州福岡と知ったのですが、滑走路が
たったの1640mしかないのは知りませんでした。
by guchi (2011-08-08 21:42) 

Takashi

電車から丸見えの入間基地とは大違いですね^^
by Takashi (2011-08-08 21:52) 

miffy

ここには航空祭で入っただけでなく、兵舎で英語学校の合宿みたいなこともしたことがあります。
確か、官舎からは滑走路見えなかったと思います。
海水浴場の近くからなら見えたような気が・・・
by miffy (2011-08-08 23:49) 

me-co

何にも見えなくて辛いですねー
理由を説明して「どうぞどうぞ」って訳にも行かないし。

by me-co (2011-08-09 01:31) 

とり

皆様 コメント、nice! ありがとうございます。

■OLDMAN様
貴重な情報ありがとうございましたm(_ _)m
今年は特別な年なのですね。

■いっぷくさん
飛び交うヒコーキと標識を見れば分かりますけど、
確かにこの外観だけだとなんだろ??? って感じですね~。

■tooshibaさん
確かに捕縛は勘弁して欲しいです。。。><

■guchiさん
>あの高級住宅地帯
ありますね~。^^;
オイラもそういう思い込みはしょっちゅうですよ。

■Takashiさん
本当ですよね~。
どうして基地によってこんなに差があるのか。。。

■miffyさん
そんな経験が!(@Д@)
>海水浴場の近く
マジですか! 探し方が足りなかったのかしらん。。。

■me-coさん
こういう時は透明人間になりたくなります^^;
by とり (2011-08-09 05:42) 

鹿児島のこういち

自衛隊は事前に見学申し込みをすれば大丈夫なはずですよぉ(^O^)親切に案内兼、監視付きで(^_^;)見せられる所だけを見せてくれて、写真を撮れる所だけを撮らせてくれますv(`∀´v)
鹿屋基地の正門の反対側は、滑走路に近いからか、防風林のようにして、国有地立入禁止って書いてありますよ(^0^)/
by 鹿児島のこういち (2011-08-09 06:06) 

sak

福岡APへ降りるときに見える滑走路は
ここのだったのですね
by sak (2011-08-09 10:56) 

とり

■鹿児島のこういちさん
「案内兼、監視付き」というのがミソですね^^
鹿屋基地情報もありがとうございます。
実は6月に鹿児島のこういちさんの地元鹿児島にお邪魔しまして、
鹿屋基地も一周し、そのガードの高さを噛み締めて参りました(;´Д⊂)
オイラが今やっているのは本当に行き当たりばったりで、
同じ場所に半日留まることもあれば、10分程で立ち去ることもあり、
どうなるかはその時になってみないと分かりません。
そんなわけで今のところ事前見学申し込みというのは難しいんですよ^^;

■sakさん
見えますか! 流石地上のチェックに余念がないですね^^
オイラも見たいな~。
by とり (2011-08-09 21:27) 

鹿児島のこういち

実は、防風林のような林の中に銀杏林みたいなところがあって、道が中の方へぐるりと回ってるんですが、車降りて歩いて中を目指すと滑走路が見えたりしてf^_^;このぐるりと回る道でトラックを止めて休憩してましたよ(^0^)/
林を出ると、滑走路までまだ間が100m以上あって駐車スペースになってます。航空祭の時は、ここが臨時の駐車場になります。
by 鹿児島のこういち (2011-08-09 23:59) 

カンクリ

芦屋基地は、航空自衛隊基地の中でも「外周から撮影出来ない屈指の基地」とそのスジの方から聞いてます。(^^;
震災後、暫くブルーインパルス機が滞在し、訓練再開もこの基地で行われたのですが、ホーム松島のようなワケにもいかず皆さんご苦労されていたようです。
by カンクリ (2011-08-13 20:35) 

とり

■鹿児島のこういちさん
そうなんですか~。
探し方が足りなかった!!><

■カンクリさん
芦屋基地はガード固いんですね^^;
そうですか。ブルーインパルスが。。。
by とり (2011-08-14 19:26) 

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