SSブログ

東村花輪防空監視哨跡 [├場所]

  2009年11月訪問 2023/1更新  



群馬県みどり市

群馬県東部に位置し、栃木県境に接する市です。

このみどり市のわたらせ渓谷線沿線の山深い小さな小さな集落に防空監視哨跡が残っています。

ここで24時間、飛来してくる敵機を監視していたのです。

みどり市にある防空監視哨跡のことは、事前にネットでおおよその位置は調べることができたのですが、

実際にお邪魔して(多分この辺)と思う場所を探せど探せど発見できず。

監視哨跡は民家の敷地内にあるのですが、昔ながらの広い敷地のお宅が点在し、

近づくと犬に吠えられてしまいます(つД⊂;)

草刈していた年配のご主人にお聞きしたところ、わざわざ長い坂を下って案内してくださいました。

そして道中お話を伺うことができました。

当時は監視哨の隣に畑を持っていて、実際に監視している様子をよくご覧になっていたのだそうです。

D20_0001.jpg

ご主人に案内していただいた監視哨跡。

一見すると井戸みたいですね。

史跡のせいで田んぼがぐねっていて、素人目にも農作業に手間がかかりそうです。

毎年毎年この部分を避けながら作業して史跡を守り続けてこられたのですね。

D20_0002.jpg

みどり市指定史跡の杭。

D20_0007.jpg

案内していただいたご主人によりますと、当時は六角の屋根がついていて、

下に1人、上に2人おり、絶えず双眼鏡で上空を監視していたのだそうです。

B29が70機もの大編隊で上空を通過したこともあるのだとか。

終戦時は情報が錯綜しており、

もう戦争は終わったのだと思っていたら召集令状が届いたという一幕もあったのだそうです。

D20_0005.jpg

現在残っているこの部分は「聴音壕」といい、コンクリートの2重構造で集音しやすい設計になっているのだそうです。

現在は繁茂した状態ですが、当時はこのラッパ状の開口部内に人が入り、聴音していました。

D20_0008.jpg

群馬県は防空監視総本部を県庁に置き、県内40カ所に防空監視哨を設置しました。

1カ所につき哨長1人、副哨長5人、哨員30人の合計36人が勤務。

哨員6人編成で5班に分け、1班24時間勤務(夕方5時~翌日5時まで)、

昼は4人、夜は2人が1時間交代で監視していました。

 

敵機を発見した場合、決められた用紙に敵機の機数、侵入経路、侵入時間、音響と機器による機種の判断を記入し、

前橋防空監視隊本部と、近隣の大間々警察署に直通電話をしたのだそうです。

聴力、視力優秀者が選ばれ、敵機の機種判別指導を受けました。

経験を積むことにより判別は100%的中したのだそうです。

人間の感覚ってすごいですね(@Д@)

 

監視哨跡はみどり市役所東庁舎の東側にあります。

庁舎前の道沿いにあるのですが、高い位置にあるため庁舎前の道からは見えません。

民家へ通じる細道か、R122に上る道を進むと見えます。

(監視哨跡は民家の敷地内ですので見学の際はご注意ください)


       群馬県・東村花輪防空監視哨跡      


東村花輪防空監視哨 データ
設置管理者:群馬県
運用時間:24時間
所在地:群馬県みどり市東町花輪
標 点:N36°31′22″E139°18′41″
(標点はグーグルアースから)

沿革
1942年 B25による本土爆撃→防空監視哨が建設される
1995年 12月26日 旧東村遺跡に指定(合併に伴いみどり市に継承) 

関連サイト:
みどり市/防空監視哨跡  


コメント(12)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

コメント 12

sak

毎日ここでドキドキしながら
じっと耳をすませて空見ておられたのですしょうね

by sak (2010-03-27 15:30) 

tooshiba

60年以上前の施設の残骸が、こうして残っているのを見せていただくと。
多くの犠牲を払った先の大戦中の我が国の国民の皆さんのご苦労が偲ばれるというか、想像を絶しますね。
「お国のために」の一言で全てが無に帰した方も大勢いらっしゃるわけですから。
んんん。
気持ちが重くなってきますね。
by tooshiba (2010-03-27 18:05) 

春分

70機のB29というのを想像するだけで、めまいがしそうです。
というか、想像できません。
by 春分 (2010-03-27 19:50) 

an-kazu

へぇ、これは凄いモノですね!

私が長野で見たものと、だいぶ構造が異なるようで
興味深いですね(^^)
by an-kazu (2010-03-28 00:21) 

とり

皆様 コメント、nice! ありがとうございます。

■sakさん
そうですね~。
強い意志と精神力がないと、とても勤まらなそうですね。

■tooshibaさん
同感です。
そのことに思いを致すためにも残っていて欲しいです。

■春分さん
そうですね~。
どんななんでしょうか。

■an-kazuさん
an-kazuさんにご紹介頂いたものもファイルさせていただいてます。
いつか見てみたいです。
by とり (2010-03-28 06:44) 

yatoho

とりさん おはようございます。

みどり市って日光の帰りに通った事あります。
バイクの上で「右だ左だ」と帰り道で喧嘩し、ぶん殴りあいになりそうになった思い出が・・・・帰宅後即!ナビを買いました^^;
by yatoho (2010-03-28 09:30) 

せつこ

凄いのが残っていたのね、びっくりしました。
by せつこ (2010-03-28 09:40) 

ハイマン

音を聞くプロですね
どうやってこの優れた人を見極めたんだろう
by ハイマン (2010-03-28 14:31) 

雅

人間の感覚ってすごいのでしょうけど、そんな事じゃアメリカに勝てるわけはないですね。
by (2010-03-28 23:48) 

とり

皆様 コメント、nice! ありがとうございます。

■yatohoさん おはようございます。
おお、通りましたか^^
言われてみればR122はバイクがたくさん走ってました。
>ぶん殴
未遂で済んで良かったです^^;
確かにバイクでナビって大変ですからね。

■せつこさん いらっしゃいませ~ヽ(*´ヮ`)ノ
オイラもびっくりでした。

■ハイマンさん
本当ですね。
どうやって見極めたんでしょうか。。。

■雅さん
ん~。確かにそうですね。
by とり (2010-03-29 06:20) 

OILMAN

こんにちは。
敵機を監視するためのこういう施設があったなんて知りませんでした。
いつ敵がやってくるかわからない中、じっと待っていたんでしょうね。
今は安心して生活していますが、当時はどんな気持ちで生活していたんでしょうね。
by OILMAN (2010-03-29 21:25) 

とり

■OILMANさん こんにちは。
「敵機がいつ襲ってくるかもしれない」なんて、普段考えもしませんからね。
どんな思いだったんでしょうか。
by とり (2010-03-30 06:47) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0