福岡第二飛行場(名島水上飛行場)跡地 [├空港]
2009年12月訪問 2023/1更新
撮影年月日1947/03/13(USA M121 9)■
出典:国土地理院ウェブサイト(地理院データを加工して作成)
現在の福岡空港と、前記事で書いた雁ノ巣飛行場の延長線のほぼ中央に
かつて「福岡第二飛行場(名島水上飛行場)」がありました。
土地勘のある方だと、「城浜団地、名島運動公園のすぐ近く」と言えば分かるのでしょうか。
サイト「WarBirds」様の「福岡飛行場」の項目(下記リンク参照)で、
当飛行場について非常に詳しく扱われているんですが、その中で当飛行場について、
「小早川隆景が築城した居城跡の北側海岸を埋め立て、7,500坪の敷地が造成されたもので、」
という一節があります。
上のグーグルマップは飛行場の要図等、敷地の資料が見つからなかったため、
敷地南側の境界線は1947年の航空写真から、見た感じで作図しました。
海岸線より陸側にも敷地が入り込んでいるようになっていますが、
これでも1.78haしかないので、上述の7,500坪(≒2.48ha)にはまだまだ足りません。
もっと南の方まで敷地だったのだと思いますが、明確な資料がないため、ここまでに留めておきます。
ということで、作図はオイラの主観ですのでご了承くださいませ。
写真:国土画像情報(カラー空中写真)国土交通省
撮影年度:昭和62年 地区名:福岡 編集・加工:空港探索・とり
上の写真は1987年のもので、都市高速1号線が斜めに走ってます。
青線は飛行場があった当時の海岸線です(下側が陸)。 妙見島は埋め立てによって取り込まれてしまいました。
写真の真ん中らへん、青線で四角い形になってますが、この部分に飛行場がありました。
そのすぐ北側に並んでいるのが城浜団地です。
団地部分は当時完全に海の中だったのですね。
この飛行場は福岡県が国からの委託工事として請け負ったもので、
小早川隆景が築城した居城跡の北側海岸を埋め立てて造成されたのだそうです。
水上飛行場なので滑走路はありません。
■の部分には現在飛行場の碑があり、当時はその左右に水上機用の10t吊り巨大クレーンが並んでいました。
完成した飛行場には、「福岡飛行場」という看板が掲げられたのだそうです。
ところが後に「福岡第一飛行場(雁ノ巣飛行場)」が完成し、こちらは「第二飛行場」になってしまいました。
なんだかアベコベな感じですが。^^;
■国立公文書館デジタルアーカイブ 昭和十四年一月 航空要覧 逓信省航空局編輯 帝國飛行協会発行
の中で、「本邦飛行場一覧(昭和十三年十月現在)」として以下記されていました(8コマ)■
名 称 福岡第二飛行場
経営者 國
所在地 福岡縣糟屋郡多々良村大字名島
水陸の別 水
滑走区域 福岡湾東寄り水面一帯
備 考 (記載無し)
諸般の事情によりすっかり暗くなってからの写真です ^^;
碑文(全文)
「昭和五年開場し大阪と中国の上海へ水上機による定期空路が開かれ九年に閉鎖 六年にはリンドバーグが飛来した」
最初はこの碑文を「昭和5年~9年まで飛行場が存在した」と受け取ったのですが、
昭和4年4月の官報で、「福岡飛行場設置に関する件」として、「本日ヨリ左記飛行場ヲ設置ス」という記述があり、
ネットでも「昭和4年に完成して水上機が飛来した」という記録がたくさん出てきます。
また昭和11年6月の官報の中に、「逓信省管制第六条ノ二項ノ規定ニ依リ左ノ飛行場ヲ置ク」として、
当名島飛行場が「福岡第二飛行場」として載せられています(第一飛行場はこの年完成)。
つまり、この飛行場は昭和4年から、少なくとも11年までは確実にあったわけです。
実は当名島飛行場、「昭和4年完成」とはいっても、この年に完璧に出来上がったのではなく、
完成後も諸施設が徐々に造られています。
ここから先はオイラの妄想想像なのですが、碑文にある「昭和五年開場し」とは、
「昭和五年にはようやく設備が整い、国際空港として開場した」。ということかもしれません。
また、碑文にある「大阪と中国の上海へ水上機による定期空路」が開かれた時期は、昭和5年3月から同9年10月までであり、
これは碑文にある 「昭和五年開場…九年に閉鎖」とピッタリ合致します。
つまり碑文の「昭和五年~九年」とは、この飛行場が運用されていた期間ではなく、
大阪と上海への定期空路が開設されていた期間を指しているのではないかと思いました。
オイラとしては、この飛行場がいつまで使用されたのかが非常に気になるのですが、
資料を見つけることができませんでした。
なんでもこの飛行場には米軍の爆撃コードが設定されていた。という話もあり、
福岡のメインの飛行場は完全に雁の巣に移ってしまったものの、
こちらもしばらくの間細々と使用されていたのかもしれません。
碑の隣にリンドバーグが飛来したことを記念する説明版が。
福岡空港の国際線ターミナルビルに、この時の飛来機「ロッキード・シリウス号」レプリカと共に、
名島水上飛行場に飛来したことを伝える当時の新聞記事などが展示されています。
分かりにくくて申し訳ないのですが、写真ほぼ中央に碑と「リンドバーグ通り」の説明板があります。
当時の海側から見てます。周辺は普通に住宅が並んでますね。
同じ地点でカメラを右に振ると、
こんな感じ。
通報されなかったかしらん。
地元の皆様、怪しくてすみませんでした。m(_ _)m
この地点の西側、城浜小学校西側海沿いの石垣に名島水上飛行場に飛来したリンドバーグ夫妻の飛行機や当時の写真がはめ込まれているのだそうです(埼玉に戻ってから知りました。。。)。
福岡県・福岡第二飛行場(名島水上飛行場)跡地
空港運用当時、日本航空輸送が名島に福岡支所を開設、大阪との間に1日1往復6人乗り水上飛行機を運航しました。運賃は東京-大阪間30円、大阪- 福岡間35円だったそうです。また、碑文には「(昭和)九年に閉鎖」と書かれており、その2年後に福岡第一飛行場が開港しました。名島飛行場で使用していた巨大格納庫2棟を福岡第一飛行場に移設したのだそうです
福岡第二飛行場 データ
設置管理者:逓信省?
種 別:水上飛行場
所在地:福岡県粕屋郡多々良村大字名島字城山(現:福岡市東区名島1-1-3)
標 点:N33°39′″E130°26′″
面 積:2.48ha
滑走区域ハ福岡湾東寄リ水面一帯トス、風位:概ネ南北
沿革
1928年08月 01日 着工
1929年03月 25日 福岡飛行場竣工
1930年03月 大阪、上海空路開設
1931年09月 17日 リンドバーグ飛来
1934年10月 大阪、上海空路閉鎖
1936年 福岡第一飛行場(雁ノ巣飛行場)開港に伴い、「福岡第二飛行場」と改名
関連サイト:
WarBirds/福岡飛行場■
ブログ内関連記事■
福岡に住んで早10年(弱)ですが、心はいつまでも道民なので、
どこなのかわかりませんでしたw
最初百道浜の方?って思いましたが、香椎の方なんですね。
(解説役の旦那様は、現在昼寝中w)
by koume (2010-04-24 13:06)
クリーニング屋さんが「ああっうちが写ってる」と言わないかしらどうかしら。(゚Д゚≡゚Д゚)ワタワタ
by tooshiba (2010-04-24 15:15)
勇気ある行為に拍手(^^)v
躊躇することが多い私も見習わなきゃ
by an-kazu (2010-04-24 18:31)
名島の飛行場って名前は知ってましたが場所は知りませんでした^^;
団地の中に記念碑があるんですね。
最近、福岡では物騒な事件が多いので何をしてるのかしらと様子を見てた人がいたかもしれませんね。
by miffy (2010-04-25 01:04)
リンドバーグと言えば歌手のほうを想像してしまいます。
by masa (2010-04-25 15:32)
福岡の飛行場を歴史的にこれだけ詳しく調べられて
さすが~♪ とりさん
次は芦屋飛行場の登場でしょうか
by guchi (2010-04-25 21:36)
皆様 コメント、nice! ありがとうございます。
■koumeさん
心は道民ですか^^
地元でもこのテの場所ってよっぽどついででもないとなかなか行かないですよね。
ここについての情報などありましたら是非お聞きしたいです。
ご主人様に宜しくお伝えくださいませm(_ _)m
■tooshibaさん
大丈夫じゃないかしら。多分。
■an-kazuさん
オイラも躊躇してばっかしですけども^^;
■miffyさん
オイラも地元の飛行場跡で最近になってやっと知った場所とか結構あります。
そんなもんですよね。(ということにしておこう)
>最近
福岡で動いていた時、ラジオでそういうことやってました。
治まるといいですね~。
■masaさん
アハハ、わかります^^
よく聞いたな~。
■guchiさん
今回は良質なサイトに恵まれましたm(_ _)m
>次は
すみません。天候不良のため急遽関西に移動してしまいました。
芦屋はいつか行きたいと思います。
by とり (2010-04-26 06:26)
夜のストロボは勇気が必要ですよねー。
私はたいていショクシツされますから^^;
by ジョルノ飛曹長 (2010-04-26 12:57)
暗い住宅街…。
私なら通報しなくても、「あやしい人がいる!」と思って
様子を窺うかも(^_^;)
by pica (2010-04-26 14:41)
この碑文に気が付かれる方は少ないでしょうね。
今年になって、1人目、なんてことはないでしょうか。
いつか、とりさんの記事を見ながら、廃止された空港跡を
辿ってみたいですね。
by takechan (2010-04-26 21:42)
■ジョルノ飛曹長さん
Σ(゚Д゚;)ショクシツされますか!
オイラも気をつけよう。
■picaさん
あー、多分オイラもそんなだと思います。
■takechanさん
碑のある場所は確かに地元の方しか通らないような気がします。
>辿
嬉しいです~。気が向きましたら是非^^
by とり (2010-04-28 06:54)
水上空港とは珍しいですね。
6人乗り水上飛行機で採算取るには、35円はいまだと10万円とかなりそうですね。
>リンドバーグが飛来
リンドバーグを知らない人が読むと、渡り鳥のように誤解しそうですね。
あと本文とは関係ないのですが、
昔の知り合いの子の家(最寄駅が貝塚)と近くて、ぶっとふきましたw
東区とかその周辺ってのはいろいろ飛行場施設があったんですね。
by コスト (2010-04-30 01:19)
■コストさん
珍しいですよね~。今後他の水上基地をポツポツアップできるのではないかと。
>渡り鳥
確かに^^ 「ミュージシャンみたいな鳥がいるんだな~」とかなんとか。
>家
そういう個人的なつながりがあると、グッと親近感湧きますよね^^
by とり (2010-04-30 06:00)