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高知海軍第二(仁井田、浦戸)飛行場跡地 [├空港]

   2010年11月訪問 2022/1更新  


無題a.png
撮影年月日1947/10/13(USA M550-1 11) 
出典:国土地理院ウェブサイト(地理院データを加工して作成)

高知市仁井田にあった 「高知海軍第二(仁井田、浦戸)飛行場」。

高知海軍航空隊第一基地(現・高知龍馬空港)の西南西約8.5kmに位置していました。

作図にあたり、

対岸の孕東町まで含めて、1947年の航空写真と現在のグーグルマップで海岸線の形を照合してみたのですが、

埋立地は別として、当時と現在とで海岸線はほとんど変化していませんでした。

検索すると、対岸の孕東町まで含む当飛行場とその周辺の青焼き(高知第二飛行場平面図 縮尺二万五千分ノ一)

がすぐ見つかります。

(これで作図は楽勝だ)と思っていたのですが、この平面図、当時と現在とで海岸線が地殻変動レベルで異なっており、

滑走路に付されている長さを示す数字と、描かれている滑走路の形が結構大きく矛盾しています。

当時の航空写真には、滑走路跡を示すハッキリとした地割も残っておらず、

どうやって作図したものか困ってしまったのですが、

当地は山と海岸に挟まれた狭隘な地形であることと、濃い植生(赤矢印)が細長く残っており、

滑走路の場所はおのずと限られます。

全体の地形と、資料にある滑走路の長さを見比べながらおおよそで位置決めをしたところ、

航空写真に写っている角に見える部分(白矢印)が決め手になりました。

滑走路は白っぽく写ることが多いんですが、当飛行場滑走路は黒っぽく写っている部分だと思います。

そんな感じで作図したのでした。

多分こんな感じと思います。

 

当飛行場は、「高知空港史」、防衛研究所収蔵資料等で「秘匿/緊急避難/発進」飛行場とあります。

■「戦前戦後の飛行場・空港総ざらえ」に当飛行場について扱われていました。

以下一部引用させて頂きます。

「この飛行場は高知海軍航空隊の練習機の緊急避難用につくられた。
この地域一帯は藩政の昔から村の人たちが、営々と育ててきた疎菜園芸の本場であり、高知県の促成園芸発祥の地でもあった。 」

■防衛研究所収蔵資料「海軍航空基地現状表 内地之部 呉鎮守府航空基地現状表」
では当飛行場について一部次のように記載がありました。

基地名:仁井田 建設ノ年:1945 飛行場 長x幅 米:1830x220 100砂砂利 主要機隊数:中小型機 主任務:発進 隧道竝ニ地下施設:施設アルモ数量不明 掩体:施設アルモ数量不明 

■防衛研究所収蔵資料:5航空関係-航空基地-90 航空基地図(本土関係)

第二高知(浦戸)航空基地(隊)施設調査資料
水陸別 水上 陸上
所在地 高知県長岡郡三里村
最寄駅 土讃線高知駅
飛行場 滑走路(台)
主要機種 小中型機
主要任務 作戦、特種
其の他の主要施設 射撃場、隧道
 

■同資料(5航空関係-航空基地-90 航空基地図)にはもう1枚資料表が含まれていました。

浦戸航空基地(隊)施設調査資料
水陸別 水上 陸上
所在地 高知県長岡郡三里村
最寄駅 土讃線高知駅
飛行場 滑走路(台) 第二高知飛行?場共用
主要機種 小型機、練習機
主要任務 予科練□教育
 

■「航空特攻戦備」第2期 として以下記載がありました(下記リンク参照)。PUTINさんから情報頂きましたm(_ _)m

方面  呉
牧場  仁井田(第二高知)
滑走路 一〇〇×一八〇〇EW
縣郡村 高知、□□ 仁井田村
記事  八月末既成

D20_0004.jpg

赤マーカー地点。

r14「黒潮ライン」。

東を向いて撮ってます。県道に沿って画面左側が滑走路だったはず。 

■「高知空港史」65,66pに当飛行場について記されていました。

「高知市仁井田に高知第二飛行場が作られた。飛行場といっても滑走路だけの簡易なもので、砂地に砂利を入れてローラーをかけ、針金で編んだ小丸太を敷き並べてあった。小丸太は飛行機の車輪が土中にめり込まないためである。練習機なら機体が軽く、固定脚で、脚が頑丈にできていたから、それでも離着陸できた。高知海軍航空隊の緊急避難用が目的であったらしい。だから日章の飛行場に対して、高知第二飛行場と呼んだ。」 

同書67,68pでは、当飛行場について防衛資料からの情報が記されていました。

隧道、地下施設、掩体があったこと、主要機は中小型機、主任務は発進とされ、

高知市池にあった浦戸基地(主任務=教育)は、飛行場を高知第二飛行場と共用。と記されていました。

日章飛行場は数回の空襲を受け、損害も出たため、日章の配備機(白菊)を当飛行場に緊急退避させる計画があり、

離着陸訓練も行ったのですが、実際の退避は行われずじまいでした。


      高知県・高知海軍第二(仁井田)飛行場跡地      

高知海軍第二(仁井田)飛行場 データ

設置管理者:旧海軍
種 別:秘匿/緊急避難用
所在地:高知県高岡郡仁井田村(‎現・高知市‎仁井田‎)
座 標:N33°30′56″E133°35′00″
滑走路:1,830m×100/220m(砂利敷)
方 位:07/25
(座標、方位はグーグルアースから)

沿革
1945年03月25日 開設

関連サイト:
「航空特攻戦備」第2期(22コマ) 

この記事の資料:
「高知空港史」
防衛研究所収蔵資料「海軍航空基地現状表 内地之部 呉鎮守府航空基地現状表」
防衛研究所収蔵資料:5航空関係-航空基地-90 航空基地図(本土関係)
「21世紀へ伝える航空ストーリー 戦前戦後の飛行場・空港総ざらえ」