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787とウインドウォッシャー [├雑談]

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787、やっとやっとデリバリーされましたねヽ(*´ヮ`)ノ

ということで本日は787ネタです。 

突然ですが車のウインドウォッシャーって、 あるのが当たり前の機能ですよね。

ところが旅客機の場合、例えば727にはこの機能がありませんでした。

727は小型機で、その分コックピットも低い位置にあるのでそれでよかったのかもしれませんが、

その後登場した747の場合、コックピットの高さは地上10mにもなるため、

グランドスタッフさんに窓を拭いてもらうためには高い脚立を持ってこないといけない。

地上でのステイタイムを短くするためにウインドウォッシャーを付けるようになり、

以来この機能は当たり前のものとなったのだそうです。

 

今回新たに787を作るにあたり、ボーイングはウインドウォッシャー機能を付けないことにしました。

加えてコックピットの窓も自由に開け閉めできないようにし、ワイパーもつけないことに。

コックピットガラスをはめ込むだけの非常にシンプルな設計にしようとしたわけです。

これに対しワーキングトゥギャザーチームとして787開発に携わったANAが反発。

例えば777の場合、コックピットの窓は開くので、操縦席から手を伸ばして容易に窓拭きができるのですが、

787の窓は固定式になったのでそれができません。

それで窓の清掃が容易にできるようにとANA側がウインドウォッシャー機能を要求。

しかしボーイング側は「重くなる」とこれに難色を示しました。

そのためANAはボーイングを説得するために、

外から拭く場合、どれほどの頻度で拭かねばならなくなるか、どれだけ時間がかかるのか、

整備士、グランドスタッフの人件費がどの位かかるか、

この機能を付けた場合の燃費の損失はどれ位か、などデータを作り議論を重ねたのだそうです。

 

787のセールスポイントは何と言っても低燃費と低コスト。

だからボーイングとしてはそのために、いかに軽く、低コスト低燃費になるかを中心に考えます。

そのために極力余分なものはつけずに軽量化したい。

一方運用側のANAのライバルは、定時出発率99.9%の新幹線。

定時運行を妨げる要素は極力排除し、迅速且つ確実に飛ばしたい。

そのために必要な機能は是非とも盛り込みたい。

両社の求めるところは相反するものがあり、せめぎ合いが続いたのだそうです。

結果的にはANA側の要求が通り、787はウインドウォッシャー機能付きになりました。

 

旅客機にワイパーがついているのは当たり前のようですが、787では雨滴が飛び散るように工夫して廃止するつもりでした。

しかしこれに関してもANA側の要望が通り、ワイパー標準装備になったのだそうです。

旅客機のワイパーは使用しない時は横に寝かせることが多く、風防の下に隠れるようになっていたりするのですが、

787は機首からコックピットガラスにかけてのラインが隠れる部分のない平滑な造りになっていて、

使わない時は立てて止まるようになっています。

余談ですが、777のワイパーには間欠機能がついています^^

ANAは実際に787を運用する側として様々な要望を出しており、

他にもそれほど頻繁に開ける必要のない点検扉を閉めるのに、

軽量なスクリューネジ式にするか、重いけど便利なラッチ式にするか(3kg重くなる)、でも揉めたのだそうです。

 

787の目玉として、客室内の大きな窓、電気式シェード、空気清浄器、加湿器、快適トイレなどしばしば紹介されます。

これらは軽量化、低コストとは完全に逆行するものだと思うのですが、

乗客に喜ばれるものは積極的に採用している一方で、

コックピットのウォッシャーみたいなパイロット(整備士?)しか喜ばないものは付けたくない。

なんとなくアメリカ人て、「便利な機能はドンドンつけちゃいなYO!」みたいなノリかと思っていたのですが、

細かいことまでいろいろ考えて造ったんだな~。と思いました。

ANAによる粘り強い説得によってワイパーとウオッシャーが装備された787。

787のワイパーやウオッシャーを使用する世界中のパイロットはANAに感謝するとよいと思います (o ̄∇ ̄o)


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